貯金の仕方をシステマティックにした「ボトムアップ貯金法」を使えば、30代からでも簡単に貯金はできる。
しかし、単純に貯金の仕方を知り、貯金を始めるだけでは思うような金額を貯めることはできないだろう。
なぜなら、貯金をすることに対しての目的が明確になっていないからだ。
ちなみに私は、19歳の時に貯金した9万円以上のお金をその後の13年間、貯金することができなかった。
もちろん貯金しようと何度も努力はしていた。
振り返ってみると、「貯金できるようになった今」と「貯金できなかった昔」では、明確な違いがあることに気づいた。
32歳になるまでの期間、まともにお金を貯めることができなかった私でも貯蓄や貯金ができるようになった理由は、「投資家になり、不労所得を今以上に増やしたい」という明確な目標と目的があったからだ。
貯金をする目的は人それぞれだが、貯金の仕方を学びたい際は、あなたと同じような志を持っている人から学んだほうが教えをスムーズに吸収できる。
予めお伝えしておくが、私のなかでの貯金の定義は、「万が一の為に備えておくお金」になり、貯蓄の定義は「お金を殖やす為のお金」になる。
私の定義が正しいことをお伝えするのが目的ではなく、貯金と貯蓄ができない人ができるようになる為のコツをお伝えするのが目的になる。
したがって本記事では、具体的な方法論を説明するまえに本質的な話をしている。
それでは、解説していこう。
1. 貯金の仕方を教える前に
まずはじめに、「なぜ、あなたは貯金ができないのか?」について真剣に考えてみよう。
このような質問を投げかけると殆どの人が「収入が低いので貯金ができません」「ローンの支払いがあるので貯金ができません」このように言う。
しかし、それは違う。
収入が低くても、ローンが残っていても、貯金はできる。
私を例にするなら、月収が5万円以下の時も貯蓄はしていたし、区民税の支払いができずに滞納した延滞金の残金がある頃も、毎月できる範囲で貯蓄を継続していた。
今では、できなかった貯金も「ただ貯金をすることに慣れていないだけ」「ただ貯金ができないと思い込んでいるだけ」と捉えることができる。
では、そもそも「慣れ」や「思い込み」はどこから派生しているのだろう。
実は、その派生のはじまりは、お金を貯めるにせよ、お金を稼ぐにせよ、お金を使うにせよ、幼少期に受けた教育が「慣れ」や「思い込み」の土台になっていると考えることができる。
なぜなら、幼少期に受けた教育が、その後を生きる思考パターンの土台をつくっているからだ。
今すぐにでもお金の使い方を変え、理想とする額の貯金をしたいと願望する気持ちはよく理解できるが、現在の思考パターンを変えるまでにはそれなりに時間が掛かる。
詳しくは、『借金600万円を克服した体験談』で、その理由についてお伝えしているので参考にしてみてほしい。
1-1. 貯金の仕方はお金の使い方で決まる
宝くじで数億円に当選した人たちが、数億円を手にする前より貧しい生活になってしまうことがあるのをご存知だろうか?
大金を手に入れたのにも関わらず、ホームレスになってしまう人もいるようだ。
その理由は、お金の使い方を消費する方法しか知らないことにある。
お金の使い道には「殖やす」「貯める」「使う」の3つしかない。
お金の管理能力を高めよう
もし、宝くじを当てようが、毎月の収入が上がろうが、3つの選択肢のうちの1つにある「使う」を対象にしかお金を使っていないようであれば、どれだけ多くのお金を手にしたとしても手元に残ることはないだろう。
つまり、お金を貯められないことに悩みを感じている人は、「使う」ことしか思考していないということだ。
したがって、継続的に貯金するには、貯金するメリット(利益)を具体的にする必要がある。
そのためには、思考パターンを変える必要がある。
その理由は、あなたの思考があなたの現実を創造しているからだ。
1-2. 大人がする貯金の仕方を子どもは受け継いでいる
幼少期5歳までに経験してきたことが、その後を生きる思考パターンをつくっていくと言われている。
ということは、5歳までに身近な存在から教わったことが、その後の思考パターンに反映されていくということだ。
ここでは親を含む「大人」という枠で考えていくとしよう。
お金をテーマとした場合、5歳になるまでにどのような大人に出会い、教えを受けてきたかでお金の使い方は決まる。
お小遣いを与えてもらい、「お金は欲しい物に対して使うもの」として教えを受けてきたのか。
それとも、お金は自分で稼ぎ、「入ってきたお金でお金が増える仕組みをつくり、その仕組みから入ってきた一部のお金を欲しい物に対して使うもの」として教えを受けてきたのかでは、お金の使い方は大きく変わっていくことだろう。
私は前者の教育を受けてきたし、ほどんどの人が前者の教育を受けてきていると思うが、これにも理由がある。
1-3. 大人から教わったお金の使い方を振り返ってみる
あなたも私と同じような教育を受けてきたならば、「お金の殖やし方」については教わってきていないだろう。
私は、26歳くらいまで「お金でお金は殖やせる」という事実を知らなかった。
基本的には、「お金は働いて稼ぐものであり、その一部を老後の生活の為に貯金しておくもの」として教えられてきているので、普通に生きているだけでは “お金でお金を殖やす” という概念には出会えないのである。
それだけではなく尊敬していた人から「35歳くらいまでは貯金もせずに経験にお金を使うべきだ」という教えを受けていたので、それを鵜呑みにして生きてきたし、借金もつくっていたのでお金を貯めるという概念すらなかった。
そんなものは後でどうにかなると思っていたのである。
確かに経験にお金を使い続けることも悪くはないのだが、全く別の角度でお金を見る世界もあった。
二十代後半からはお金について学ぶ機会が増え、読む書籍もお金に関連するものが多くなった。
いろいろ学んでいく中で、「お金は稼ぐことよりも、どのように管理するかが重要」という概念に出会う。
これを知った頃は、「お金は自分で稼ぎ続けることができれば、管理なんて後でどうにでもできる」と思い込んでいたので、信じるに足らなかった。
しかし、こうして貯蓄をすることが当たり前になった今では、この言葉を信じずにはいられない。
少し遠回しな話をしてしまったかもしれないが、毎月稼いだ収入をどのように管理していくかを考え、実行していかないことには貯金も投資もできるようにはならない。
そして、それらのことは「目的が明確になっていること」が必須条件になる。
1-4. 上手な貯金の仕方は目的を明確にすることから始まる
私たちの親や大人のほとんどが
- 「お金は老後のために貯めておくもの」
- 「なにかあった時のために貯金はしておくもの」
- 「ローンを組む頭金の為に貯金はしておくもの」
と認識しているケースが多い。
このように、未来へ対する「不安」や「恐れ」のために貯金することを我々は教えられてきた。
だから私たちの世代(30代)からすると、半ゆとり世代でもあるので、「生きていくこと」「生活していくこと」に対しての「不安」や「恐れ」は、我々の親世代からすると弱いということもわかる。
それゆえに、危機感に備えて貯金をしない人が多いことから貯金ができないという現象に発展していることも考えられる。
貯金にも “前向きな貯金” と “後ろ向きな貯金” があるが、どちらにせよ「不安」や「恐れ」を土台にした貯金などすべきではない。
もちろん万が一の時に備えた貯金もしていくのだが、メインは投資を目的にした貯蓄をしていくことにある。
何に投資をしていくかは人それぞれだが、以下では「貯金」と「貯蓄」をしていくうえでおすすめしたい要点をまとめているので参考にしてみよう。
1-5. 一億円が銀行口座に入金されたら、どう使う?
明日、あなたの銀行口座に一億円の入金があったとしたら、そのお金をどのように使うだろうか?
できればノートとペンを用意してリストアップしてみてほしい。
ここでリストアップした内容に、現在の思考パターンが反映されることになる。
特に正解はないが、答えは最後の項目「お金は己の分身」でお伝えしている。
正解が無いからこそ、様々な答えを受け入れることができるので、可能であれば複数名で取り組んでみるのも面白いと思う。
「仲の良い友人」や「尊敬している人」に分けて質問してみると、「他人」と「自分」の思考の違いを認識できるいい機会に恵まれるはずだ。
先にもお伝えしたように、お金の使い道には「殖やす」「貯める」「使う」の3つしかない。
2. 収入からシステマティックにお金を貯めるボトムアップ貯金法
毎月の収入からどのようなお金の使い方をしていくかの「方向性」と「目的」を決めたら、自分の手元に入ってきたお金を各口座へシステマティックに振り分けていこう。
私は振込手数料が掛からない、「東京三菱UFJ銀行」と「じぶん銀行」を主に使っている。
特に決まりはないが、自分が扱いやすい銀行を取り扱うことをオススメする。
2-1. 貯蓄の割合を一番高くしておく
収入が入った後は毎月、投資向けの貯蓄口座へ5%〜24%を目安に入金していく。
主観的なアドバイスになるが、お金に純粋な愛情を持つことができていない際は、いきなりパーセンテージを増やして入金額を多くしてもスグに口座から出ていくことになる。
私は「お金は己の分身」だと認識しているので、お金に対して肯定的なイメージが持てないようであれば、収入から入金する割合を少なくし、少しずつ実践していくことを勧めている。
最初は貯蓄の額にこだわるよりも、「貯蓄に慣れること」「貯蓄をする思考を持つこと」に重きを置いていこう。
人それぞれ持っている思考パターンは違うので、一度も失敗することなく貯蓄できるタイプもいれば、私のように何度も失敗を経験してようやくできるタイプもいる。
そこは自分に必要なプロセスだと思って怯むことなく前進していこう。
また、収入や年収が上がったタイミングで貯蓄の割合を24%〜50%に引き上げていくのも良い選択だ。
このシステムは、収入が上がれば上がるほど支出の割合を少なくすることができるので、貯蓄の割合を増やしていくこともできる。
「消費家」や「浪費家」は収入が上がれば上がるほど支出にお金を使うが、「投資家」は今以上にお金が増える仕組みを構築する為に貯蓄を増やし、投資に回していく。
2-2. 貯金の割合を収入の10%〜5%に設定する
一度に全てを行うことはあまりオススメしないが、できそうであれば同時進行で取り組んでみよう。
貯金の割合は収入の10%〜5%くらいを目安にしていくと良いだろう。
この貯金もはじめのうちは額を気にするのではなく、行為に喜びを感じていくようにすると抵抗感を感じることなく進行していくことができる。
焦らずに実行していこう。
こちらも貯蓄と同じように、収入が上がってきたら貯金の割合を10%〜20%くらいに引き上げていくと、より安定した貯金をつくることができる。
2-3. 小銭貯金をつくる
キャッシュレス化が進み当たり前になりつつあるが、現金主義の日本人にとっては現金に慣れ親しんでいるため以下の方法もおすすめ。
「塵も積もれば山となる」という言葉がピッタリ当てはまる貯金法であり、「お金を使うことでお金を貯めることができる」のが特徴。
通常であれば、お金は使えば無くなるものとして認識しているが、私の場合は、「お金をもっと楽しく使う為には、どのような使い方をしていけば良いのか?」と考え続けた結果、編み出すことができた。
例えば、324円の買い物をする際に、小銭ケースの中を調べたところ、ちょうどで支払いできる324円が入ってたとしよう。
しかし、この貯金法ではピッタリの金額で支払いをせずに、500円玉、千円札、一万円札を使用していく。
今回は千円札で支払いを済ませたとしよう。
私の場合、はじめのうちはお釣り全額に貯金を回せるほど余裕がなかったので、お釣り「676円」のうち「76円」を小銭貯金に回していた。
これを繰り返していくうちにお金に対するセルフイメージが変わった。
収入も自然と上がり、使えるお金に余裕が出てきてからは、お札で支払ったあとにお釣りとして返ってくる小銭を全額貯金するように変えていった。
買い物をする頻度にもよるが、毎日何かしら買い物をするようであれば効果的な貯金法だといえる。
このように複数に分けてお金を貯めていくと、お金のセルフイメージを自然と上げながら良質な貯蓄と貯金ができるようになるはずだ。
以上が「収入からシステマティックにお金を貯めるボトムアップ貯金法」の解説になる。
3. 上手な貯金の仕方は徹底的な見直しから
できないことをできるようにする為に、「やり方」「方法」「仕方」というように How To を調べる人が多いが、本やネットで知った貯金の仕方を実行する前に、見直しておかなければならないことがある。
それが、自分が支出に使っているお金を全て把握することだ。
貯金ができないと、貯金の仕方に問題があるように思うかもしれないが、「やり方」「方法」「仕方」というように How To を調べることよりも、自分の「意志」や「意識」を変えていくことの方がよっぽど大事なのである。
以下で解説をしていこう。
3-1. 固定費を見直し
はじめに、毎月の固定支出を算出していく。
ここでは毎月、固定で支出している対象を全てリストアップしていこう。
例えば、「家賃」「光熱費」「通信費」などになる。「住宅ローン」「保険」「車」のローンなどもあれば記入しよう。
次に、月額課金制の支出はなるべく控えること。
毎月数百円の会員システムに無駄遣いしていないかもチェックしよう。
大した額ではないと思っているかもしれないが、貯蓄や貯金に必要な意識は、節約ではなく、本当に必要な物にだけお金を使うことへの意志である。
「このサービスは、私にとって本当に必要なのだろうか?」と自問した際に、心から YES と言えるのであれば、使い続けてもらって構わないが、少しでも疑問に感じた場合は除外リストに留保してから再検討しよう。
3-2. 変動費の見直し
固定費についてはある程度把握しているかもしれないが、変動費(固定費を除いた自由に使えるお金)の使い道をキッチリ把握している人は意外に少ない。
これは貯金ができている人にも実践してほしいことの1つになる。
使いやすいアプリがあればそれを使ってもらって構わないが、私の場合はエクセルで管理し、日付ごとに使った金額と対象になる物やサービスの品名を記録している。
数ヶ月やってみるとわかるが、この記録してきたデータから行動パターンを振り返ることができるので、自分の「慣れ・癖」「思考パターン」に気付きやすくなる。
つまり、今まで当たり前にしていたお金の流れを客観視することができるので、自分の目的に沿ったお金の使い方へ改善できるということだ。
なぜ、このような面倒くさいことにまで意識を向けるのかというと、変動費の使い方に自分の思考パターンが反映されているからだ。
「お金は己の分身」であるため、必ず使ったお金で得た物質に自分の意識が反映されている。
今お伝えした概念は上級者向きの話になるが、わからなければあまり深追いせずに、頭の片隅に閉まっておくような感じで次を読み進めよう。
3-3. ポイント制度は誰が一番「お得」なのかを考えろ
スマートフォンの普及により、一々財布からお金を取り出さなくても簡単に支払いができるようになったことで、キャッシュレス化が定着してきた。
そのうちの1つが、ポイント制度だ。
「ポイントが増えるからお得!」という宣伝は言い換えれば、「どんどんお金を使おう!」と言われているのと同じことだ。
つまり、財布の紐を緩めるために考えられた仕組みの1つ、ということになる。
3-3-1. ポイント制度の落とし穴
例えば、このクレジットカードを使って毎回決済をすれば購入金額に対して5%のポイントが付く。
だから、ほとんどの決済をこのクレジットカードで行っている。
なぜなら、クレジットカードから毎月貯まるポイントを使って、〇〇を買うのが私の楽しみだからだ。
このように、上の例に当てはまる人物は意外にも少なくはない。
このようにポイント制度を使い、貯まったポイントで新たな買物をしている人は多い。
しかし、本当にお金の面で得をしたいなら、ポイントを使って何か新しい物を買ってはならない。
なぜなら、ポイント制度はお得という感情を抱かせる為に開発されたマーケティングツールだからだ。
ポイント制度を突き詰めていくと、消費者に対してポイントが貯まる過程や貯めた達成感による “喜びの感情” をお得として与えているのであり、お金の面で得をしているのは企業であることがわかる。
貯まったポイント未満で買い物を済ませられれば消費者のお得になるが、ほとんどの人はポイントで浮いた金額を上乗せして新たに物やサービスへお金を使っている。
これにより、最終的に誰が一番お得をしているのかお分かり頂けるだろう。
3-3-2. ポイント制度を別の角度で考える
あなたが事業主の立場になって考えてみればわかりやすいはずだ。
「ポイント制度を導入したことによって毎月の利益が◯%伸びた」という他社の統計データを見れば導入を検討する余地はあるが、「ポイント制度を導入したことによって毎月の利益が◯%下がった」という他社の統計データを見れば導入を検討することはないだろう。
この比較からも理解できるように、“最終的に誰が得をしているのか” を深く考えてみることは、お金の使い方を学んでいくうえで欠かせない要素になる。
もし、貯まったポイントを固定支出に使っているのであれば、その使い方は賢いといえるが、変動支出に使っているのであれば見直す必要がある。
3-4. お金の動きを記録する
「固定支出」「変動支出」をリストアップした後に、毎月入ってくる収入から、自分が何にお金を使っているかをキッチリ記録していこう。
『6. お金を管理するスキルを磨く』で解説している収支表のようなデータを構築しておくと便利だ。
お金は己の分身
以上が、現在私があなたに教えられる「貯金の仕方」になる。
では、記事中で質問した項目「1-5. 一億円が銀行口座に入金されたら、どう使う?」についてお答えしていこう。
これと言って正しい答えがあるわけではないが、一億円を消費に使ってしまったようであれば、あなたがお金を使うときの思考パターンには、「消費すること」しかないことになる。
もし、一億円を投資や貯蓄に回していたとすれば、あなたの思考のなかに自然と投資と貯蓄の概念があることになる。
そうすれば、手に入れた一億円をスグに快楽に変えようという思考にはならないはずだ。
この質問は、自分の収入に置き換えて訓練していくこともできる。
「一億円が銀行口座に入金されたら、どう使う?」を「収入が入金されたら、どう使う?」に変えればいいだけだ。
貯金の仕方を身に付けたいのであれば、経験値を増やし、訓練していく以外に道はない。